春になろうとすると
それに逆らうように冷たい風が吹く。
その季節になると
40年近く前に訪れた福島の山奥の一軒のお宅を想い出す。
国内で数少なかった麻を生産している農家だった。
麻の栽培は地面から春にせっかく出てきたふぞろいの新芽を
焼き畑で火をつけ燃やす。
それから3ヶ月だったかで一挙に成長させ
人の身長ほどになったものを刈り取るのだ。
福島の山奥で春といっても雪もあり半端なく寒い。
そのなかでタラの芽がしっかり芽吹いていた。
その麻作りの農家のおかあさんに
採りたてのタラの芽の天ぷらをごちそうしていただいた。
その時タラの芽の天ぷらははじめてだった。
そのおいしさが忘れられない。
だが
街で何度か食べたがそのおいしさはない。
それはそうだ。
その日の採りたてを揚げたのだから
その風味は落ちることはない。
最高だ。
最近では韓国産も多いと聞く。
たまたまスーパーに奥多摩産とあったので
買うことにした。
家でタラの芽をどうこうしたことがなく
天ぷらもめんどうなので
蒸して「味噌とタラの芽」とした。
まあこれはこれでおいしかった。
タラの芽はだいたいトマトと同じ程度のカリウム含有量なので
買ってきた半分にして
半分を翌日にした。
なんとなく同じ味噌というのも
せっかく買ってきたので
なんだかんだソテーくらいならできるかなと思ったりしていたが
結局天ぷらに行きついた。
はじめは焼酎のアテにするつもりだったので
さっさと作るはずが
天ぷらとなってしまい
あり合わせのタマネギとしいたけも揚げた。
天ぷらの腕はまったくないが
まあまあの出来具合だったが
あの風味にはイマイチ届かなかった。
あの風味はやはり幻で
福島に赴かなければ手に入れることはできないのだろう。
そんななか
ありあわせでついでに揚げたしいたけの天ぷらが
かなりおいしかったのでメリハリのあるツマとなった。
さて
「弁当ジイジ」2日目のきのう。
おかずは回鍋肉で攻めた。
悪くはにない。
何よりもおいしいのは御飯だ。
いまやランチボックスは密閉型のものが多い。
だがどんなにかわいくても
じいじだからなのか
この樹脂製がなじめない。
プラスティック嫌な派なのだ。
氾濫しているプラスティックには疑問なのだ。
山歩きの倶楽部で輪っぱの弁当箱を持ってきてるのをみて
ネットで安いのを探しまくって
手に入れたのがこれ。
プラスティックでこういうのもありそうだけど
これは純粋に木製。
昔からのという懐古趣味ではなく
これがいいのだ。
プラスティックの密閉型のは
どうしても御飯がべたべたする。
この輪っぱ弁当箱は
ほどよく水分が抜けて
御飯が香ばしいのだ。
御飯だけでもいいかもしれないと思うくらいで
ここにこの魅力があってはまりそうなのだ。
おかずの汁が漏れることがない密閉型プラスティックが
重宝されているのだろうが
わが輩はどちらかというとやはり御飯のおいしさをとる。
まだ2日目なのでいいアイデアは浮かんではいないが
その汁対策を考えることに。。
写真上2=奥多摩産タラの芽。
写真中=しいたけ
写真下=輪っぱ弁当箱(回鍋肉)