■12月20日(土)
干からびたサラダ菜ととっくに賞味期限切れになった卵と冷凍してあった食パンを食べて降りる。わが部屋は3階ではあるがエレベーターもあるので10メートルくらいの廊下を無事に降りれば1階には行ける。ただエントランス内に2段、外に5段くらいの階段があり退院した病院での階段の松葉杖歩行は1階しかやってない。それも退院の日の午前中に申し訳ついでのようにやっただけ。
一歩一歩慎重におりるしかない。幸い何ごともなく降りられたが予約したタクシーの運転手は5分ほど遅くなって降りてきたわが輩をキャンセルかと不安のように車外に出て待っていた。何ごとも5倍くらいの時間がかかるような気がする。
タクシーに乗ってしまえばもう安全。リハビリもできて透析もできる病院に転院という手もあったが、入院していた病院が急性期を主に対象としているのでこのくらいの骨折だと2〜3週間で転院か退院を余儀なくされ、わが輩の主治医ははじめから自宅療養を言っていた。退院後どんな生活になるのか不安だったのはたしか、ふつうなら出かけることもなく骨が修復するのを時間をかけて待てばいいのだが、わが輩の場合は1日おきに透析に行かなくてはならない。あとでわかったことだが、透析センターに整形科の経験のある看護師がいてリハビリ転院か自宅療養かの采配は医師の年齢など見た目とバリアフリー度に主によるそうだ。ただ透析の通院というのが重くのしかかっていたようで、整形の主治医もわが輩次第ということを何度もいっていた。
わが輩もこれ以上転院したところで入院生活を続けたくなく、必死に松葉杖歩行を習得したという訳である。
この日透析後、病院でもっとも避けたいコンビニ弁当を食べたあと食材がないのでイトーヨーカドーへタクシーで行ってもらった。ネットスーパーには登録していたが、たしか以前店で300円くらいだせば店で買ったものを宅配してくれると店員は言っていた。なのでショッピングも店内用の車いすを借りて膝の間にカゴをはさんで生鮮食品売り場を回った。
このへんなおじさんに子供たちの目を集めていた。ちょうど米もなかったのでこの際宅配だからと5キロ袋を買った。レジをでてサービスカウンターで宅配を願い出たところ住所はどこですかという。答えると「配達エリア外」なのでできないという。たしかにその店は透析センターには近いが自宅からJRにしても3つ目の駅。すまなさそうな店員は、これからどうやって帰るのか聞いてきてタクシーと答えると、ではタクシー乗り場までお持ちしますと食材を大きな紙袋にまとめてくれた。折しも小雨が降っていたの借りた車いすでそのまま漕いだ。40メートルくらいだが、意外と集中的に漕ぐと疲れるしあの目の見えない人用の鋲が妨げとなってうまく進まない。雨にぬれてるわれわれを見かねて若いカップルの女性が傘をさしてくれた。丁重にお断りしたけれど、タクシー乗り場までずっと差してくれた。おそらく自分は濡れていたと思う。ほんと恐縮で
す。想像してたことは、マンション前についても少なくとも7段近くの階段があるということだ。しかも5キロ以上の手提げ袋を持って上がるということは大きな試練。おまけに雨でタクシーを降りたところも濡れていてぼやぼやしてると紙袋は濡れるし、あわてれば濡れた階段に足を取られ転倒する。とにかく慎重に1歩1歩のぼった。しかし、エントランス外の5段はうまく成功したが、エントランス内のあと2段というところでバランスを崩した。両手をついて多少足も着いたかも知れないが、大きなダメージはないと思われちょうど帰ろうとしていた管理人がキーを開けてくれ無事3階まで来た。が、部屋までは10メートル。5キロの米を返品すればよかったなどと悔やみながらゆっくり部屋まで辿り着いた。今夜はゆっくりできるとばかり、250mlのエビスビールと豪華な?食事。