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2012-11-08

「万里の長城」遭難と山登り

中国の万里の長城へは3回ほど行ってる。

1回目はもう20年くらい経ってるが
初めての中国だったので
万里の長城も感慨深かった。
外敵から守る城壁としては
スケールが大きい。

いくぶん観光化され
欧米人の観光客を
多く見かけた記憶がある。
やたらとフィルムを売るテントが目立ち
それがほとんどがFujiFilmで
最近ではデジタルが普及して
あまり見かけない「写るんです」が
チャイニーズの包装で並んでいた。

ツアーコースを一巡し
帰りのバスをめざして下山中に
突然、今きたルートの後方で
パーンという拳銃のような破裂音が鳴り響いた。

単発で続くことがなかったので
何かの作業音を聞き違えたのかと思っていると
警官らしき制服の中国人が駆け上がってきた。
なにか出来事があったのは確かだったが
バスの発車時間が迫っていたので
そのまま帰ってきた。
日本に帰国したら新聞に小さな記事になっていた。
若い男女が万里の長城から飛び降りたとあった。
若い二人が心中をした理由はともかく
万里の長城の旅を違った印象づけてしまった。


さて
今回の万里の長城での遭難事故で死亡者がでた。
もちろん同じ万里の長城でも
私が訪れたことはない万里の長城だが
相変わらずツアー会社が
マスコミに叩かれる一方、
警察に家宅捜索を受けている。


もちろん
私の山登りはまだ1年も経っていないので
大先輩に聞く機会があったら聞いてみたいが
山登りには常に危険が同居してるのを前提に
すべて自己で責任を負い
すべて自己で完結する
のが基本だと考える。

日ごろ『充電』していての2000m近い山登りは
それなりに体調管理に気を使う。
『充電』の日はどうしても血圧が下がりがちで
その翌日も安定しているとはいえない。
その上に私には時として
心房細動の不整脈が起こることがある。
山登りは病院には報告はしてるので
注意深く観察はされてるとは思うが
看護師や医師は積極的には薦めてはいない。
駄目とはいわないまでも
むしろブレーキをかけられる。
私の場合、血圧も不安定でおおむね高い。

『充電』をやっていようがやっていまいが
滑落やルートを見失うことの危険はいつもある。
そのうえ『充電』をしてるかぎり
シャントといって
腕の静脈がショートカットされ動脈化されてるので
滑落などで腕を損傷すれば
出血すれば通常より多くなることが予想される。
リスクは大きい。
だがすべて自己管理、自己責任、自己完結と思ってる。

私が旅した観光地のような管理された万里の長城があれば
かなりきついトレッキングと謳わなければならないような
今回の万里の長城があるように
山登りも多くが林業を営む個人の山を
我々は「山登り」と称して
土足で上がらさせていただいている。
山道は整備されてるところもあるが
崩れ落ちてるところもあり
ましてやルートが消えたり間違えれば
「やぶこぎ」といって道なきを歩くこともある。
実際にこの1年間に単独行では何度かある。
山によっては一部その地主が
有料にしているところもあることを耳にするが
その場合でも滑落したからといって
地主は管理責任を問われるのだろうかと思う。


最近ツアーでエベレストを登った知人がいるが
話を聞くと1人に1人のポーターがついて
ごく安価で行けるという。
もし遭難したらガイドはその責を問われるべきだろうか?

今回の万里の長城のツアーは
ダウンジャケットとフリースで生還したとあるが
ほかの帰らぬ人になった3人は
どういう防寒だったのだろう?
やはり防寒の準備が足らない印象だが
では万全の防寒で死亡事故が防げたかというと
それは誰もわからない。
またツアーのメンバーのひとりの体力的低下によって予定が
多少遅れたという報もあるが
これも責を問う筋でもないだろう。

山の危険は、
私が登るような低い山でも同じで
滑落や遭難に最大限至らないようにしたいし
不可抗力の場面を迎えない最大限の準備をするところから
山登りは始まっている。