先週末で転院されたふたつとなりのベッドだったKAさん。
KAさんは個人タクシーの運転手だった。
年齢は聞いたことがないからわからないが
わが輩よりやや上なのかも知れない。
わが輩は今年で10年目だけれど
KAさんは確か8年目くらいだったと思う。
わが輩より数ヶ月早く導入したTOさんと
3人は同じくらいの長さだ。
病院ではなかなか話をする機会はないけれど
お互いの体調は気になるものだ。
『充電』は毎回決まったことをしてるだけだけだが
お互いつつがなく過ぎていけばいいと思うもの。
それが血管のトラブルで
血液が採れないなどとか
ほかの病気を発症したりすると気になる。
何もないのが一番良い。
KAさんが透析を導入したのは
ある日タクシーでお客を乗せていた時
呼吸をしても空気が入ってこず
苦しくなった。
病院を見かけ行きすぎたところで
お客に降りるようにお願いし
そのまま病院へ駆け込んだようだ。
腎不全で肺に水が溜まり
酸素なぞ入ってくる余裕が無くなっていたのだ。
レントゲンを撮ると真っ白だったという。
なんとわが輩と同じだ。
すでに何日か座って寝てたという。
横になると苦しく呼吸ができないからだ。
わが輩も3日くらい横になれなく
とうとう苦しく息絶え絶えで救急車で運ばれた。
KAさんは座位で 寝ながらタクシーの仕事に出かけていたことになる。
危険ではあるが。
KAさんはこのところ突然意識を失うことがあったり
穿刺をしても血管が細くて
血液を採れなかったりと
なかなか苦労をしていたようだ。
主に血糖値が下がって意識を失うことがあるようで
医師、看護師、家族と相談し
やむなく個人タクシーを廃業した。
それにともなって
経済的なことを考えて転居することにしたようだ。
いつまでもタクシーの仕事を続けることはできないことかもしれないが
廃業は大きな転機だ。
これからどういう余生を暮らしていくかは人それぞれだが
ゆっくり生きたいもの。
KAさんはいわば同窓生。
なかなか今後会う機会はないだろう。
一抹の寂しさはある。
「ぼちぼち がんばって生きていきましょうね」
と別れた。
*写真は北海道・知床岳。