きょうの『充電』の最中とつぜん
一人の看護師から
いままで血液検査をしてきましたが
さらにに栄養状態を調べるため
今後腕の太さを測るようにしますが
いいですか?
というのだ。
上腕の太さで栄養状態がわかるというのだ。
ヒトによって
筋肉の太さも
脂肪の付き方も違うのだから
そんなことで栄養状態がわかるというのか。
そのとおり質した。
痩せていて問題なのか
太っていて問題なのか
「そのヒトの予後に関わる」
という。
もちろん
たとえばアフリカ難民の子どものような
極端にやせ細った体に
警戒感をもつのは当然かも知れないが
毎日のように
体重を計り水や食事に気を配っていて
これをもっと厳密に調べることが
必要かと思う。
これは透析看護では ACと呼ばれているようだ。
AC(Arm circumference:上腕周囲長)
確かなことはいえないが
わが輩の印象では
看護師の発想ではなく
栄養士の世界の理屈のような気がする。
数ヶ月前にも
新しい栄養士が入ったとして
栄養士の指示で
GNRIという数値で
あなたは「やややせてるので,食事指導をしたい」
ということがあった。
GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)
栄養士の仕事は
たしかに栄養が十分なのか食事内容を検討するのはわかるが
一般体重を基準にしていろいろ持ち出して
あなたは太ってるとか痩せてるとか
そういうこことを軽々しく言っていいものなのか
考えて欲しい。
医療専門家ではないので
信憑性についてどう医学界では評価されているかわからないが
極端な肥満や細身を
一般水準から比較することはあってもいいが
全員そういう数値を持ち出して
指導の基準にするのはいかがなものかと思う。
医師の処方ですかと聞くと
そうでは無さそうだし
そう聞くと
承諾していただけるヒトだけ
という返答。
上腕を計ることなど3分もかからないことだが
ただでさえリンやカリウム、体重と
数値に振りまわされ
厳しい食事制限をしているのに
そこまでしなくてはならないものか。
勘ぐれば
「知識ある」栄養士の「ACの信憑性」をたしかめる
スクリーニングだけでないのかとさえいいたくなる。
ちなみに
GNRIはアルブミン数値を元にしていて
アルブミン数値が基準値下限(Alb3.8)よりわずか0.1低い数値の3.7で
GNRIではこうだから
栄養がやや足らないといわれ
栄養指導をしたいということだった。
こうなってしまうと
GNRIもACも
栄養士の知識を振りかざしているだけの
まるで患者のことを考えていないとしかいえない。
そういう厳密な栄養指導を受けないとどうなるのと聞いたときの
担当看護師の
「予後に関わることがある」
というのはやめてほしい。
これは脅しだ。
わずかに栄養が足らないのは
透析患者は皆同じ。
そんなパーフェクトな栄養指導ができるのといいたい。
マラソンランナーなどのように
毎食作ってくれる環境なら
それもあるかもしれない。
日常的な生活でそこまで求められたくない。
ヘルシンキ宣言というのがあるそうで
いやな治療は受けなくて良いそうだが
それを持ち出すまでもなく
もともとインフォームドコンセントでいけば
拒否するのは自由だが
そういう根拠の薄い治療?に
振りまわされることに
とにかく今日は不愉快な一日だった。
*写真はパリ。
ちなみにGNRI はまだ2005年にフランスで発表されたばかりのスクリーニング方法。