手が震えるっていっても緊張からではない。
いやそうかもしれないけれど
プロなんだからそれはないだろう!!
といってパーキンソン病かもしれない。
いやわが輩の預かり知らない病は幾らでもあるだろう。
だが
だが、その震える手で穿刺はされたくない。
そうだろう。ふつうでも刺し損じることがあるのだ。
ことの流れをつまびらかにすると
たしか今年の春
透析センターに異動した看護師。
ここで看護師というのは不便で
性別がわからない。
男性のと断らなくてはならない。
女性の方が好きとかという男目線ではなくて
(それは完全には排除できないことだが)
はたして男性の看護師と看護婦とどうちがうのかという目線はいつもある。
わがセンターには2名の男性の看護師がいる。
で、その二人目の看護師は
キャリアが長いのだろう
というよりも管理職に向いているといった方が良いのかもしれないが
センターに異動するや看護師係長の肩書きがついていた。
ゴールドのプレートを胸につけている。
10年もセンターにいると
係長も何人か異動している。
それはそれでそれなりの特長がある。
看護師長は他科と兼任でほとんど顔を出さないので
係長が患者にとっては最高位である。
がしかし
いままでの係長は積極的に話しかけてくれる。
ところがいまの係長はまったく話しかけてこない。
もちろん透析に関してはじまったばかりというのはあるかもしれないが
(といってもたしか春から)
にやにやしてはいても透析患者との接触方法がわからないのか
話しかけない。
もちろんわが輩は10年にもなると態度がでかいので
話しにくいのかもしれないが
ほかの患者との会話も聞いたことがない。
そういう点から言うと
新しくセンターに入ってきた若い技師Yは
しゃべるはしゃべる。
ほかの昔からの技師にどうしてあんなにしゃべるのかなと
愚痴ったこともあるけど
彼は彼で一生懸命患者とコミュニケーションをとる姿勢なので
好感が持てる。
他の女性の看護師は屈託がない。
今日などは患者とカラオケ広場と紛うくらい
「あかい〜ゆうひが〜」などと。
これ誰の歌?とまるで透析センターとは思えない空気。
こんな空気にわれわれは助けられているといつも思うのだが。
あるときは経験が長い技師Sが
スタッフはホステスみたいなモンですよと
自嘲的に言ったことを憶えているが
病院に行ってホスト、ホステスに囲まれて
楽しませてくれてることをほんと感じる。
そういう点では
男性の看護師の心づかいは
女性の看護師のそれにはおよばないと思う。
もちろん
どうしようもない女性看護師もいるのだが。
さて
今日はそんな男性看護師一般についてでない。
これまで透析終盤の返血などで
カットバンを張ったりはあったが
その時もわが輩の目はちゃんと見ていた。
手が震えているのだ。
隠すように見えないようにしてるのかもしれないが
目の前のカルテのテーブルの上なのだから見える。
何度も見てるのでこちらの錯覚ではない。
最初に書いたように何かの病に侵されているのかもしれないとも思った。
パーキンソン病かもしれないし
アルコール中毒かもしれないし
それは御自身がわかってることだ。
そのことを長い看護師Oに話したこともあった。
患者の情報はどこまで共有してるのかわからないが
管理能力はあるのかもしれないけど
こと針を刺す穿刺はお断りしたいから
もしそうなったらお願いねと
このことを共有してくれるならしてもいいとつけ加えた。
これは半ば冗談のように話していたかもしれないが
今日はじめての穿刺となった。
迷った。
冗談のように話したシナリオ通り
穿刺は看護師Oさんにお願いと言うのか
まだはじめてなので一度はお試しもありのかと。
一度も穿刺をさせずに拒否もないと考え今日だけは我慢した。
結果的には刺し損じることはなかったが
想像通り消毒綿の際も
穿刺の瞬間までも手が震えていたのがこちらの腕に伝わる。
やはりこれからも刺して欲しくないと思った。
これはいまのところ今日の結論だ。
この流れをたまたまベッドにきた看護師Oに話した。
Oは患者は穿刺から一日の透析がはじまるということで緊張しているので
もし穿刺して欲しくないのなら他の人に変わってくださいといっていいと思いますよ。
とのことだった。
看護師スタッフのなかでましてや上司について問題にしたくないのだろう。
途中から加わった看護師Koも
看護師や穿刺する側もかなり緊張状態で駄目と思ったら
二人ペアの相方にすぐ代わるという。
患者は駄目だと思うと出てくる血管も出てこなくて
穿刺がより刺しにくくなると言う。
ただでさえ痛みからはじまる治療。
他の人に替わってくださいというのは自然なこと
と看護師Koもいう。
もちろん
はなからおまえには刺されたくないとはいわないが
そこまでその男性看護師係長に気を使わなくてはならないのかとも思うが
次回からはそうすることにしよう。
その係長の症状がたしかで病であるならば
それはそれで病院として対処してもらいたいものだ。
ましてやアルコール中毒ならば何をかいわんやだ。
さて
胸鎖乳頭筋の手当で不整脈が抑止できるかもしれない二日目。
今日は残しが1キロあったので
その効果でなのか疑わしいが
きょうもまったく不整脈の予兆すらなかった。
不整脈の期外収縮もないことでこんなに快適な時間がすごせるのかと
つくづくこの10年何やってたのだろうと
半分悔やみ、半分快感。